2015年11月12日木曜日

谷本真由美 ノマドと社畜

2013 朝日出版社

会社は組織だから、イヤな上司もいれば、派閥やイジメもあり、無言の集団的圧力でサービス残業をしなければならないこともある。そこで、「こんな会社辞めてやる!」と言って会社を飛び出す人間も出てくる。彼らに言わせると、会社にいる人間は、会社に飼われている「家畜」と同じである。皮肉と軽蔑を込めた「社畜」という言葉が、その後会社にいる側でも、自虐まじりに使われるようになったようだ。
いっぽう、「ノマド」とは、もともと「遊牧民」という意味で、組織にしばられない自由な働きかたをしている人のことを言う。もっとも、外見がそう見えるだけであって、実際に「ノマド」的な生き方をするのは、そう簡単ではない。よほどの専門的スキルが無ければ無理である。そうした専門的スキルは、組織で身につけるか、特別の資格を取るかしなければならなず、初めから「ノマド」なんて、もともと無理な話なのである。
それでも、若い人の間では、「ノマド」が一種の流行になっている。「スタバでマックしてドヤ顔する」とは、スターバックスコーヒーでアップルコンピューターの薄型ノートパソコンを開いて仕事をしているふりをして得意そうな顔をするという意味である。こういう人たちを指して「意識高い系」とか「ドヤラー」というらしい。

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