2013年5月30日木曜日

ナシーム・ニコラス・タレブ まぐれ

望月衛訳

2008 ダイヤモンド社

昔、リディア王のクロイソスは、世界一の金持ちだという評判であった。あるとき、彼のところへギリシアからソロンがやってきた。ソロンはクロイソスの富を目にしても少しも驚かなかったし、誉めもしなかった。腹を立てたクロイソスに対して、ソロンは、今、裕福だからといって将来もそうであるとは限りませんと言うのである。その後、クロイソスは、ペルシアとの戦いに敗れ、処刑されそうになったとき、「ソロン、お前は正しかった」と言ったという。
このように、人生は、不確実性に満ちていて、何が起こるかわからない。
能力があって、人一倍努力をし、リスクも積極的に取ったからといって、成功するとは限らない。破綻した人も、おなじように能力もあり、努力もしてきたのである。
いっぽう、能力もなく、たいした努力もしなくても、サラリーマンや公務員になって、平穏な人生を送る人もいる。
成功した人のすべてが、まぐれやツキが原因だったと言うわけではないが、成功した人は、幸運であったことに変わりはない。
それでも、クロイソスのたとえのように、人生、最後まで何が起こるかわからない。
同じことを、現代の野球監督ヨギ・ベラは、「終わるまでは終わりじゃねえよ」と表現した。

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