2011年3月30日水曜日

河谷史夫 酒と本があれば、人生なんとかやっていける

2010 株式会社彩流社企画

1945年生まれ 2010年、朝日新聞退社

「警察や検察といった捜査当局を取材対象とするのは古来の方法である。新聞に入ると、まず『警察回り』が記者修行の第一歩だし、事件事故、何かにつけて、『サツは何と言ってる?』が口癖のデスクは枚挙にいとまがないのが実態だ。」(p74)

「夜討ち朝駆けは、これも古来の戦法で、昼間は会えない、会えても密談はしにくい取材相手を早朝深夜に襲って問答することだが、ほとんどは嫌がられ、空振りが多く、労多くして益は少ない。少ないけれど、これをしなければ前に進むことができない。」(p74)

「新聞も昔は大雑把なものだった。
どこかの記者になったら、社長から名刺の束をぽんと渡されて『これで食え』と言われたという伝説がある。」(p84)

「酒は呑むがゴルフはしない。するつもりも金輪際ない。ひとさまの趣味をあれこれあげつらうことは余計なお世話と承知しているが、新聞社でもどこかの支局長をやったくらいですっかりゴルフ通になって戻ってくるのがいるから笑ってしまう。」(p224)

「事件は突然にくる。『全員呼び出しっ』。とたんに、それまでいくらだらけきっていても、編集局は一瞬に張りつめ、緊張は締め切り時間まで続く。」(p257)

「新聞社に独特の編集と営業の対立、編集局内の派閥争い、入社年次による軋轢、同期同士の競争、先輩の後輩へのひそかな恐れ、後輩の先輩に対するひそかな侮り、記者の功名心、それと裏腹の敵愾心、目立ちたがり、そういった渦の中に何故記者たちはいるのか。」(p260)

「何が大変といって、警視庁にしろ地検特捜部にしろ、相手の手にすべてのカードがあるということだ。思し召しのごとく示してくれるカードの中身をかいま見て、事件全体像を推し量らなければならない。」(p279)

「ますます盛んなそうだが、老いも若きも『百名山』にうつつを抜かし、生きているうちに全部登りたいなどど気味の悪いことを言うのがいる。・・・他人様の趣味に文句をつける趣味はないけれど、登ってもどうせ降りてくるんだろう。」(p316)

新聞記者は、四六時中休むひまなく、事件や情報を求めて、目をギロギロさせ、耳をそばだてて、人が隠そうとすることを暴きたてようとしている。なにがそうさせるのだろうか?
「新聞」という語の通り、新しいことを誰よりも先に知って自慢したいという心理があるのだろうか。
著者がゴルフや山登りが何がおもしろいのかわからないのと同じように、私は新聞記者のこともよくわからない。

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