2011年2月4日金曜日

大橋弘昌 負けない議論術

2009  ダイヤモンド社

1966年生まれ   ニューヨーク州弁護士

アメリカ人は議論好きであるが、いっぱんに、日本人は議論が苦手で、多少なりとも不利益を被っていることが多い。
著者は、アメリカで生活し、弁護士業というシビアな仕事のなかで、議論する力を培ってきた。

議論術には、次のように、いろいろなものがある。

相手の主張に賛成しながら、相手が述べた理由を用いて正反対の主張を述べる。
短所を指摘されたら、その短所を長所に変える。
主張は、相手を正そうとするのではなく、「私ならこうする」と言って始める。
相手の意見に対してのみ反論を述べるようにし、相手そのものを攻撃しない。
「松・竹・梅」の選択肢を用いると、竹が選ばれやすい。
過去の発言について批判されたら、議論の方向を将来に向けてみる。
感情に訴えることは、議論に負けないための大きな力になる。
あからさまに相手を批判すると、ブーメランのように自分に返ってくる。
不利なレッテルを貼られそうになったら、堂々と反論すべきである。
人の心を捉えるには、前向きさ、勇敢さを前面に出す。
自慢話をするときは、自分の失敗談や弱点を交えて話す。
議論の前に想定問答を行い、準備する。
議論が終われば、議論の相手をたたえよう。

議論においては、相手と「ウィン・ウィン」(Win-Win)の関係を築くことをめざすべきで、一方的に相手をねじ伏せるのは得策でない。
本書の題名のように、「議論に負けない」のが肝心で、「議論に勝つ」ことは必要ではない。議論に勝っても、相手の恨みをかえば、お互いの関係が悪くなってしまう。
相手を満足させて議論を終えることができれは、相手の満足は自分自身のためにもなる。
どんな場面でも、常に「ウィン・ウィン」の議論となるよう心がけるべきである。

最後に、事態が差し迫っていて、議論をしている余裕のないときは、決して議論をしてはいけない。決定権を持つ人が、周りと議論などせず、迷わず物事を決めなくてはならない。素早く、ためらわず行動しないと、手遅れになることがあるからである。
たとえば、リーマン・ブラザーズが破綻した同じ週末に、メリル・リンチはバンカメへの売却を決めた。このときの最高経営責任者のすばやい決断について、ウォール・ストリートの関係者は口をそろえて「見事だった」と賞賛した。
議論よりも即断即決が功を奏することがあるのである。

0 件のコメント:

コメントを投稿