2011年2月2日水曜日

ダニエル・ピンク ハイ・コンセプト 「新しいこと」を考え出す人の時代

2006 株式会社三笠書房

大前研一訳

訳者の解説によると、経済のグローバル化によって、中国で生産できるものは中国で、ITなどインドでできるものはインドでというように、少しでも人件費が安くてすむ地域へ産業は引っ張られる。それを日本でやろうとすると、低賃金でないと引き合わない。日本企業も世界中で生産しているから、安いモノがどんどん入ってきて、デフレ傾向に歯止めがかからない。いっぽう、上のほうは、アメリカのプロフェッショナルのような、けた外れの給料をもらっている。
このように、これからは、上と下とが二極化して、いわるゆる「格差社会」になっていく。
では、このような時代には、どうしたらよいのだろうか。
まず、「途上国にできること」は避ける。二つ目に、「コンピューターやロボットにできること」は避ける。三つ目に、「反復性のあること」は避けることである。
新興国やコンピューターにはできない創造性のある能力が重要になってくるという。

本書によると、創造性のある能力を育てるためには、「六つのセンス」が有効である。
すなわち、1.「機能」だけでなく「デザイン」、2.「議論」よりは「物語」、3.「個別」よりも「全体の調和」、4.「論理」ではなく「共感」、5.「まじめ」だけでなく「遊び心」、6.「モノ」よりも「生きがい」である。
これらのセンスは、誰もが持っているが、磨きをかけることによって能力がより高められる。
創造的な能力は「ハイ・コンセプト、ハイ・タッチ」などと呼ばれ、これをマスターできた人は大成功を収め、そうでない人は取り残される。

本書からは、アメリカでも、中国やインドのような新興国の脅威が強く意識されていることがわかる。
しかし、見方をかえると、中国やインドの歴史は古く、古代文明発祥の地でもある。
新興国には単純なことだけやらせ、先進的なことはアメリカでと言っても、いつまでもそうはいかないだろう。アメリカ人や日本人が、いくらインド人や中国人に負けまいとしても、そのうち、追い越されるのかもしれない。
いっぽう、独自のものを創ることができることが重要なのは、どこの国に居てもおなじである。

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