2011年1月16日日曜日

午堂登紀雄 「読む・考える・書く」技術

2010 ダイヤモンド社

1971年生まれ

著者は、「知的生産力」という言葉を、「情報をお金に換える力」という意味で使っている。つまり、「知的生産力」は、経験や情報という目に見えない素材を再構成して価値を生み出す「現代の錬金術」である。
じっさい、膨大な情報を自分の頭のなかで再構成し、文字や絵というかたちでアウトプットすることで収入を得ている人は多い。そこで必要なのは、紙とペンだけである。

現代では、ネットを通じて誰でも自分の考えを発表できるようになった。
さらに、本を出版すれば、自分の世界が広がり、読者の共感を得ることができれば、感謝され、お金まで手に入る。
出版することによるメリットは大きい。いっぽう、デメリットは、嫉妬攻撃を受けることである。しかし、出版する以上、読者からの批判や否定は覚悟しなければならない。誰もが同意し、反論される余地のないような主張をしたところで、自分が自分であることの価値にはならない。賛否両論があり人から批判されることは、それだけ読者に反応させ、考えさせることであるから、大いに価値のあることである。
どうでもいい主張は無視されるだけである。

ビジネス書でも、役所や会社などに勤めている人の書いたものは、組織に遠慮するせいか、主張が微温的で、かつ「意見にわたる部分は、あくまで個人的なものである。」などと、わざわざ断っていることもある。
それにたいして、組織を出た人の書物は、概して論争的で、自己主張の強い内容のものが目につく。当たりさわりのない表現ではなく、あえて挑発的な言葉、露骨な表現を使うことによって読者の感情に訴えようとする。
それも、目立つことによって、本を売ろうとする戦略なのであろう。
本屋の書棚には極端な主張に見えるタイトルの本があふれているが、実際に読んでみるとそれほどでもないことが多いようである。

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