2010年12月16日木曜日

山内昌之・中村彰彦 名将と参謀

時代を作った男たち

2010 中央公論新社

山内昌之 1947年生まれ

中村彰彦 1949年生まれ

歴史ブームのおり、碩学二人の対談集である。
本書を読んでいると、あたかも居酒屋でのサラリーマンの会話のようである。
居酒屋でのサラリーマン同士の話題といえば、その場にいない会社の人間の悪口や噂話である。他人の悪口は、酒の最高の肴だという。
歴史家が、歴史上の人物について語るとき、どんな大人物であっても、こき下ろしたり、笑いの対象になる。相手は、死んでしまった人たちだから、何を言おうとかまわないわけである。
一人で書くときは、おのずから節度がでるが、二人で対談すると、知識をひけらかすこともあって、過去の人物の悪口に近いことが、言いたい放題になるのかもしれない。
たしかに、歴史上の人物が悪いことをしてきたことを書いたらきりがない。
織田信長の残忍さをみると、つくづくあんな時代に生きていなくてよかったと思う。
徳川家康が、豊臣家を滅ぼしたときのきたないやり方は、後々まで記憶されることだろう。
幕末には、陰謀や謀略が渦巻いていたが、坂本龍馬が誰によって暗殺されたかは、いまだに謎である。龍馬の大政奉還論は、徳川を残すものであったのに対して、西郷隆盛などは、あくまで武力による倒幕にこだわっていた。そこで、龍馬が邪魔になってきたのが、龍馬が殺された理由であるという説がある。
その説によると、龍馬暗殺の黒幕は、西郷隆盛であったことになる。
このころの薩摩武士のエネルギーは、すさまじく、平気で人を殺している。
薩摩の黒豚や黒牛は、島津家が琉球から移入したものだという。当時から肉食をしていたのである。
生麦事件で斬られたイギリス人も、島津久光の行列に出会ったのは不運であった。
ともあれ、昔も今も、世の中、きれいごとばかりではない。

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