2010年12月11日土曜日

原田武夫 計画破産国家アメリカの罠

―そして世界の救世主となる日本

2009 株式会社講談社

1971年生まれ

著者は、2005年外務省を退職した。「なぜそこまで?」と思わざるを得ないほどバッシングされる官僚制、ますます劇場化し、茶番と化していく政治とマスメディアにたいする違和感もその原因である。
アメリカ発の金融危機が発生すると、世間ではアメリカ流の金融資本主義が終焉したとか、アメリカの覇権が崩壊したとか言われていたが、著者は、そうは思ってはいなかった。
著者によれば、アメリカは「計画破産」を謀っている。
膨大な債務を抱えているアメリカは、そのうち、カナダやメキシコと経済統合して、北米共通通貨「アメロ」を創設するであろう。
そのとき、新通貨の価値は、今のドルに比べて大幅に低下している。
いっぽう、ヨーロッパ諸国も危機的な財政破綻に瀕している。
そのため、世界の投資資金は、最後に選ばれた国・日本に殺到し、一時的に、日本に金融バブルが訪れるはずである。
今のところ、著者の言うようにはなっていない。
しかし、日本は、アメリカの強い影響を受けてきたにもかかわらず、一般の人は、アメリカの政治や経済のことを、ほとんど知らない。
外貨建ての金融商品が溢れていて、それらに投資しないと乗り遅れるのではないかという不安をかき立てられている。
投資によって大きな損をこうむっても、「自己責任」と言われてしまう。
自分ではわからないから、専門家が運用しているという投資信託を薦められる。
それでも、全員が損をすれば、ほとんど逃れることはできない。
先行きどうなるのかわからないという時代であるから、著者のような外務省出身の国際戦略情報の専門家が活躍する余地もあるのだろう。

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