2010年12月9日木曜日

小島祥一 なぜ日本の政治経済は混迷するのか

2007 株式会社岩波書店

1944年生まれ

日本の政治経済では、政治家、政府、日銀、財界という指導者が自分たちの利益を中心に考え、国全体の利益を考えることができない。

「日本で一番大事なのは自分の属している『集団』を守ることであり、その外側の『国』というものがどうなるかは、つきつめて考える習慣がないと言ってよい。」

「日本は民主主義が身につかず、集団主義で行動しており、積極的自由よりも消極的自由を求めており、『公益』を無視して集団の『私益』を追求している。」

「日本は個人が自立し、自由、平等、民主主義を実行する国として、まだ未成熟だと言わざるをえないのである。」

戦後の日本は、集団主義によってひたすら経済成長を追求し、1980年代の初めには、先進国の経済規模にまで到達した。日本は、それでも飽きたらず、集団主義を強化して、ひた走るだけだった。
その結果は、貿易黒字拡大、日米経済摩擦、プラザ合意、円高、内需拡大、バブルの拡大と崩壊、その後の長期低迷であった。

日本では、「上からの指示」にしても「赤信号、みんなで渡ればこわくない」にしても、他人の行動を基準にして自分も行動するのが無難であるという考え方が強い。
その結果、失敗しても、「みんなで決めたのだ」と言って、誰も責任をとらない。
本書で言う「集団主義」とは、そのような意味も含まれるのであろう。

「日本が政治経済の混迷から脱出するには、個人が自立して、自由、平等、民主主義の国として成熟した国になり、『公益』をもっと強く意識して主張し、場合によっては『私益』を犠牲にする決意が必要である。」

著者は、混迷から脱出するには、他に依存するのではなく、個人の自立が大前提であると言う。

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