2010年5月24日月曜日

DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー編集部 戦略思考力を鍛える

2006 ダイヤモンド社

企業が戦略を策定するとき、理路整然とした構想にもとづいて決定するかというと、そうでもない。
実際には、経営者の直感にもとづいて決定されることが多い。
スピード経営に直感は欠かせない。経営者は直感の精度を高めなければならない。その際、経営者の意思決定を歪める心理的な落とし穴にはたとえば次のようなものがある。

アンカリング
アンカーとは錨のことである。なにか決定しようとするとき、人はいちばん最初に得た情報にどうしてもこだわってしまう。これに引きずられて次に続く思考や判断が鈍ってしまう。家族や友人の何気ない一言、新聞の記事、テレビのコメンテイターの発言などに引きずられてしまう。これを避けるためには、できるだけ情報源を広げ、つねに様々な観点から問題を眺めなければならない。
他人のアイデアがアンカーになるのを防ぐためにも、だれかに相談する前に、まずは独力で問題を考えてみる必要がある。

現状主義
人はダメージから自分を守りたいという願望がある。
現状を打破するということは、行動を起こすことであるが、行動を起こすと失敗することもある。現状を維持することは、たいていの場合、より無難な策を取ったことを意味する。
人は、無意識のうちに、なにもしなくてもよい理由を探している。

埋没原価
「埋没原価」とは「回収不可能な過去の投資」である。
過去にいくら時間と金をかけて投資したものであっても将来利益を生まなくては何にもならない。同様に、過去に自分が下し、今となっては何の意味もなくなってしまったような意思決定を何とか正当化しようとして、本来選ぶべきでない選択肢を選ぶことがある。過去にした意思決定でも、途中でやめることが必要なこともある。
ウォーレン・バフェットはつぎのように言う。「もし穴のなかにいる自分を発見したら掘るのをやめるのがあなたにできる最善のことです。」

本書は経営書であるが、個人にもあてはまりそうである。

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