2010年5月22日土曜日

野口悠紀雄・遠藤論 ジェネラルパーパス・テクノロジー

日本の停滞を打破する究極手段

2008 株式会社アスキー・メディアワークス

ITは、インターネットが利用されるようになってから可能になった情報・通信技術である。
新しい情報通信技術であるITは、ジェネラルパーパステクノロジー(一般目的技術、汎用技術)であるため、組織や社会の構造と密接な関係にある。
「IT革命」は、経済活動にきわめて大きな変化をもたらした。
本書によれば、IT革命の利益を享受できないことが日本経済停滞の本質的な原因である。
ITにたいする基本的な転換がないと、日本経済の活性化は期待できないという。
アメリカでは、1990年代に企業の大幅な交代が進み、主要企業の構成が大きく変化した。それに対して、日本では、ほどんど変化が見られず、1990年代の中心的な企業がいまだに中心的な企業である。
さらに、エレクトロニクスなどの、ついこの間まで日本を支えていた事業が、もはや利益を生むものにはならなくなっている。
製造業中心の「ものづくり」にこだわるのではなく、ITを利用した価値の高い新しい産業構造に転換することが、これからの日本経済にとっての課題であるという。
1980年代は日本が世界を制覇したかのように見えた。
そのころ完成したのが、官庁や銀行の大型コンピューターを中心としたシステムである。
IBMなどの大型コンピューターを中心にしたシステムをメインフレームと呼んでいる。今では、このようなメインフレームを旧式なレガシー・システムとして問題視する声も多い。
日本の主な官庁や企業は、未だにメインフレームを使っているため、古いシステムのメンテナンスに膨大なコストをかけている。
IT革命といわれたのも過去のことであるが、それよりさらに昔のシステムが日本の企業の重要な資産であることが問題であるともいう。
昔懐かしい富士通とかIBMのコンピューターが今でも大企業の中枢では使われているのだろうか?

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