2010年4月6日火曜日

榊原英資 榊原式スピード思考力

2008 株式会社幻冬社

1941年生まれ

著者は考える力をつけるためには、「何も知らない」ことを知ることが重要だという。
「私が知っていることは『何も知らない』ということだけだ。」とは、ソクラテスの言葉と言われている。
なぜ知らないことに気づくことが重要かといえば、いろいろなことがわかっていると思ったとたんに、「考えること」そのものが止まってしまうためである。
知ったかぶりをするより、「何がわからないか」を知るところから、考えを始めるべきである。

考えるというと、「時間をかけてじっくり」と思いがちであるが、現代のようなスピードが早く余裕のない社会では、即断が求められる。そのため、情報収集は問題が起きてからではなく、つねにしておかなければならない。決断するときには、情報のどの引き出しから出せばいいか決めるだけなら、それほど時間はかからない。そして、決断しても、つねに間違う可能性を考慮しておく。
間違ったなら、すぐ改めなければならない。
事態の早い展開にいつでも対応できるように準備し、すばやく反応する。
スピードと「考えること」とは、しばしば反対のように思われるが、今では「スピード思考」が必要である。

著者は、60を過ぎてからも、何度も反復して暗記することを習慣にしている。
頭を使うという習慣を身につけることにより、脳を新鮮に保つことができる。
ただ、習慣がマンネリ化すると、集中力をさまたげ、かえって効率を悪くする。
適度に休んだり、遊んだりしてリフレッシュすることによって、かんじんなときに集中力を保つことができる。

これからは、新しいことを始められる人がどんどん伸びていく時代である。
自分で考え、新しいことを始められる人は、じつは、失敗ができる人である。
新しいことをやるのに、失敗はつきものであるが、失敗を恐れずにやることによって、新しい発見が生まれ、成功につながっていく。
ただ、どんなときでもあきらめなければうまくいくかというと、そういうわけでもない。
ときには大胆な撤退も必要になる。
大切なのは、「あきらめないこと」と「あきらめるべきこと」の見極めができることである。
そのためにも、経験を積み重ね、「勘」を磨くことが大切である。
挑戦・失敗・撤退を繰り返すうちに道がひらけてくることも少なくない。

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