2010年3月3日水曜日

小向太郎 情報法入門

デジタル・ネットワークの法律

2008 NTT出版株式会社

コンピューターやインターネットの普及によって、情報をとりまく環境は大きく変わっている。
このような環境の変化によって法律や制度にどのような影響があるのだろうか。
インターネットを一般の人々が使えるようになったことにより、インターネットを利用してできることは、急速に多くなった。
便利なサービスが次々と登場する一方、電子メールやWebページを使った詐欺、電子掲示板での誹謗中傷、迷惑メールの氾濫、著作権侵害の拡大、個人情報の大規模な流出、コンピューターウイルスの大量頒布などの問題が深刻になっている。
このような問題は、インターネットの世界が匿名であることによって増幅されている。けれども、厳密に匿名というわけではなく、プロバイダーを経由して情報がやりとりされているのは、各コンピューターごとにipアドレスが割り振られているためである。
通常は、プロバイダーはipアドレスを開示しないが、犯罪捜査などの場合には、開示されることがある。また、通信記録が残らない匿名掲示板にたいする情報発信に関しては、事後的に発信者を特定することは困難である。
インターネットの世界では、あたらしい技術やサービスが次々と生まれるとともに、新たな犯罪も生まれ、現行の法律や制度の対応は遅れがちである。
情報に関する法律を並べてみても、行政手続きオンライン法、公的個人認証法、電子投票法、電子消費者契約法、特定商取引法、電子署名法、不正アクセス禁止法、迷惑メール防止法、プロバイダー責任制限法、通信傍受法、電子記録債権法、個人情報保護法など、最近つくられた法律がかなり多い。
法律の文面には、厳密さが求められるが、インターネットの世界で起きていることを、 厳密な言葉で定義して規制することは難しい。どうしても、法律のほうが、後追いで対応していかざるをえず、これからも、新しい法律がつくられたり、改正されていくことになるだろう。

1 件のコメント:

  1. 小向です。ご紹介有り難うございました。今週改訂版が出ます。結構新しいことが書いてあるので、よかったら、そちらもよろしく。

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