2009年12月27日日曜日

佐藤優 世界認識のための情報術

2008.7 株式会社金曜日

1960年生まれ

著者の言葉は、論理的で、説得力があり、抑制がきいて、重苦しい。
2002年、背任と偽計業務妨害容疑で逮捕され、執行猶予付き有罪判決を受けた。
同志社大学大学院神学研究科修了後、外務省入省という経歴も異色である。
そもそも、神学科に進んだのは、キリスト教を論破するためであったというが、それが、逆にクリスチャンになったのだという。
著者の母親は、沖縄の久米島出身で、沖縄戦の生き残りであるという。
沖縄の人たちの、日本本土にたいするねじれた感情は、沖縄戦で、多数の犠牲者が出ただけではない。
沖縄には、もともと琉球王国が存在し、日本と中国の両方に朝貢していた。
幕末には、アメリカなどとの間で修好条約を締結した。
それが、明治の初めに、強権的に日本の一部に組み入れられ、琉球藩が設置され、これに続いて沖縄県が設置されたのである。
私は、沖縄の人たちの共通の感情というものが、どのようなものなのか知らない。
しかし、本土で、漠然と「日本は単一民族」などと言っているのとは違うものがあるらしい。
戦後、アメリカ軍が占領していたときは、琉球政府が置かれていた。
その後、本土復帰されたが、沖縄県民は、はたして沖縄という名前に愛着を感じるのだろうかというのが、本書の読後感である。
クリスチャンでかつ右翼だというが、得体の知れない感じがする。

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