2009年12月18日金曜日

浜矩子・高橋乗宣 大恐慌失われる10年

2009.4 株式会社李白社

浜矩子 1952年生まれ

高橋乗宣1 940年生まれ

グローバル化した世界で、世界同時大不況が日に日に深化している。
金融暴走時代の後始末をつけることは、それなりの時間がかかるのだろう。
こんななかで、各企業や国が自分さえよければという論理でお互いを排斥していけば、これから先の10年は、まさしく地球経済にとって失われた10年となるであろう。
日本に先駆けて改革解放、規制緩和を押し進め、金融バブルと不動産バブルに沸いたイギリスは、アメリカ同様、不動産バブルがはじけ、深刻な国内空洞化の前に立ちすくんでいる。
日本ではアメリカの危機ほど深刻に受け止められていないが、ヨーロッパ諸国も、バブルが崩壊し、経済が急降下している。スペイン、ハンガリー、アイルランドの経済の落ち込みはとくに大きい。
1999年に実施された通貨統合により、金融政策は欧州中銀(ECB)が行うことになったが、金融監督権限は各国の財務省に残されている。いまのEUは金融監督、金融規制、金融政策を一元的に考える構造になっていない。
本書の著者は、アメリカ経済も、まだ底が見えていないと考えている。
このままの経済状況が続けば、1ドル=80円、70円は時間の問題である。
日本では、円高になると輸出産業が政府にたいして円高対策として為替介入をすべきであると要求する。円売り、ドル買いの為替介入を行って、円高を阻止してほしいという気持ちはわかるが、崩れ落ちていくドルを買うことが、はたして得策と言えるのか疑問である。
日本企業は大量生産、大量輸出型の経済成長がもはや限界であることを自覚したからこそ、生産拠点を海外に移してきた。
海外進出や資源輸入にとっては、円高は有利である。
これまでのように、円高・円安に一喜一憂するのではなく、海外に腰をすえた事業展開をするべきである。いつまでも過去のやり方にこだわるべきではない。
日本の製造業が壊滅的な打撃を受けている。
それでは、この先、モノづくりを捨てて、新しい道を探すしかないのだろうか。
著者は、そうではなく、やはり資源を持たない日本には、モノづくり以外には道はないという。日本にしかない、日本でしかできないモノづくりをめざすのだという。
これまでのように大量生産による薄利多売ではなく、独自の伝統や技能に裏付けられた少量で儲けられる高付加価値の分野で勝負するのである。

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