2009年11月7日土曜日

小林幹男 貸せない金融

個人を追い込む金融行政

2009.5 株式会社角川コミュニケーションズ


1961年生まれ

著者は、世界同時恐慌とは別に、日本国内発の不況要因があると言う。すなわち、たとえば消費者保護とか弱者救済が、何をおいても最優先という日本の社会を覆っている「空気」である。
その結果、規制が強化され、消費者金融、事業者金融、信販会社という日本経済のなかで一定の役割を果たしてきたノンバンクが 、いまや崩壊の危機にある。著者は、むやみに規制強化をすればいいというわけではなく、規制強化によって、産業が衰退すれば、経済を圧迫し、けっきょく消費者にとって不利益になると言う。
これらの規制が日本経済に与える影響については、たとえば次のようなものがある。
①改正貸金業法の成立により、消費者金融が衰退、倒産に追い込まれ、個人消費が減退する。
②おなじように、中小零細企業専門に貸出を行っているノンバンクが破たんに追い込まれている。
③割賦販売法の改正により、割賦販売をになっている信販会社の経営を圧迫することになる。
④耐震偽装事件によって建築基準法が改正されたことにより不動産不況を招いた。
経済危機とは、ただひとつだけの要素だけが原因ではなく、様々な要素が複雑に絡み合って起こるものである。
著者は、そのため、「きっかけ」になったものが、いつの間にか、うやむやになって問題の本質がみえなくなってしまうことがよくあると言う。
多重債務者問題、ヤミ金被害の増加、悪質な訪問販売業者の被害にあう一人暮らしの老人、姉歯耐震偽装事件などに関連して、規制や取り締まりが強化されれば、ひつつひとつは善意と正義に基づくものでも、一方では経済不況の原因にもなるのである。

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