2009年10月31日土曜日

水野和夫 金融大崩壊

「アメリカ金融帝国」の終焉

2008.12 日本放送出版協会


1953年生まれ

「サブプライム問題に始まり、”リーマン・ショック”で爆発した世界金融クライシス。
それば米国製『投資銀行』ビジネスモデルの崩壊とともに、天文学的なマネーが流動する世界の資本主義経済が、次のステージに突入したことをも意味している。早くから金融バブルの崩壊を予見してきた気鋭エコノミストが、この未曾有の金融クライシスの本質と、世界と日本のこれからを鮮やかに読み解く。」(背表紙より)

「世界では低金利が続いていて、どこへ投資しても儲からない。リスクが高いのはわかっていいるが、高い利回りの金融商品が何としてもほしい。そこで投資会社がその希望に合わせるようにCDO(債務担保証券)をつくり、格付け会社を呼んできて、自分たちに都合のよいように高い格付けをつけさせて売り出した、というのが真相なのす。」(p59)

著者は、今回の経済危機はアメリカによる金融資本主義が崩壊したと見る。
グローバル化した現代の経済では、日本などの低金利国から資金を調達して、アメリカの高金利の債券に投資すれば、確実に儲けることができる。その際、怖いのはリスクであるが、格付け会社や保険会社の保証のついた債券なら安心である。
こうして、投資家はアメリカの高金利の債券を求めていく。サブプライム住宅ローンは、リスクが高いため、金利も高いので、こうしたローンを証券化した商品は高金利となり、投資家の需要は膨らんでいく。無理な住宅ローンが組まれたのも、投資家の債券に対する需要がきわめて強かったためである。こうした仕組みも住宅価格が上がり続けているうちは、なんとか動いていたものの、住宅価格が下げだすと、たちまちのうちに機能しなくなり、破綻していまう運命にあった。
一度バブルがはじけてしまうと、金融機関には大量の不良債権が残り、政府は金融機関を救済するために莫大な支出を余儀なくされた。
つぎに懸念されるのは、政府の巨額な財政赤字によってドルに対する信認が無くなることである。
「アメリカ金融帝国」が崩壊したあと、無極化した新しい資本主義の時代が来るであろうと著者は予想している。

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