2009年10月12日月曜日

越智道雄・町山智浩 オバマ・ショック

2009.1 集英社新書

越智道雄 1936年生まれ
町山智浩 1962年生まれ

「史上初の黒人米国大統領に就任したバラク・オバマ。疲弊する大国は、なぜいま、彼を選んだのか?覇権国家の衰退を歴史軸で考察する研究者(越智)と、合衆国を駆け巡るフィールドワーカー(町山)が、岐路に立つアメリカの過去・現在・未来を縦横無尽に語り合う。サブプライムローンの”現場”やハリウッド空洞化の実情など、アメリカが陥った病の症状を容赦なく暴き出し、多様な人種がオバマを「支持」した理由を明らかにする!」(背表紙より)

今のアメリカの社会は、つぎのように表わされる。
1.国内の産業が空洞化している。
2.マイノリティーと呼ばれる人たちの合計が今後、白人より多くなっていく。
3.貧富の格差が非常に大きく、「アメリカン・ドリーム」とは文字通りの夢にすぎなくなっている。
日本も、このようなアメリカの状況に近づきつつあるようである。

黒人初のオバマ大統領は、たしかに人種的には黒人であるが、けっして黒人社会の出身ではない。本書では、オバマ大統領を「過去がない黒人」とか「グローバリズムとマルチカルチャーの象徴」とかいう言葉で表現している。オバマ大統領は、あの若さで大統領選を勝ち抜いたやり方を見れば、「天性の野心家」だとも言う。
そればかりでなく、投票日の直前に世界金融危機が勃発し、情勢が彼にとって有利に働くなど「強運」の人でもある。
だがしかし、越智は、オバマにとっての「強運」が、周囲にとっての「強運」と一致するとは限らないと、一抹の不安感をもっている。

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