2009年8月10日月曜日

中山治 「生き方探し」の勉強法

2002 株式会社筑摩書房

1947年生まれ 心理学者

著者は長年にわたって日本人の国民性を研究してきた社会心理学者。
日本人の国民性を踏まえた「生き方探し」の勉強法を展開する。

今日の日本は多様な生き方が求められている、というより、そうせざるを得ない時代である。著者は「生き方探し」で大事な最初のステップは、いきなり動き出すのではなく、まず「心の体力」を取り戻すことだと説く。「生き方探し」を云々する前に、就職活動やリストラにともなうストレスで「心の体力」を消耗してしまっている人があまりに多い。今日、若者の失業率は高く就職活動での挫折によって「心の体力」を消耗している人は少なくない。また会社でうまく適応できた人にも、キャリア・ショックがある。キャリア・ショックとは自分がいままで築いてきた技術やノウハウがまったく役に立たなくなるような急な方向転換を迫られることである。最後に、リストラや定年後に起きるストレスがある。

このようなときに大事なのは、「心の安静」を保って「心の体力」が回復し「そろそろ何かしたい」「動きたい」という気持ちが体の中から湧いてくるのを待つことである。つぎに、幅広く試行錯誤をしてみる。その後、自分を冷静に格付けし、自分の比較優位を考慮に入れて目標を設定する。目標設定も目標の変更も、最後は自分の直観を信じて自己責任で決める。まったく同感であるが、けっきょく「自分の生き方」とは、人それぞれが悪戦苦闘して探すしかないらしい。

定年退職後の元サラリーマンの場合はどうか。もともとサラリーマンという職業は会社のために働いてきたとはいっても、個人の目標や目的とは別のものであった。他の世界では大家になっていても不思議ではない年齢ではあるが、サラリーマンとしては、もはや用がないのが定年である。これでは、ちょっとやそっとでは「心の体力」は回復しそうにない。会社のストレスが無くなったのはいいが、別のストレスがせまっている。身体の体力も衰えている。無理はしないで、すこしずつ試行錯誤をかさねていくしかないようだ。

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