2009年7月28日火曜日

外山滋比古 思考の整理学

1986 株式会社筑摩書房

1923年生まれ 本書執筆当時、お茶の水女子大教授

裏表紙より
「アイディアが軽やかに離陸し、思考がのびのびと大空を駆けるには?
自らの体験に即し、独自の思考のエッセンスを明快に開陳する、
恰好の入門書。
考えることの楽しさを満喫させてくれる本」

著者は、まず始めにグライダーと飛行機のアナロジーにより、学校で勉強することは、グライダーのように先生に指導されて飛んでいるのである、自分で勉強することは飛行機のように自力で飛行することができることであると言っている。
この本の目的はグライダー兼飛行機のような人間になるには、どうすればよいか考えることである。ひとつひとつのエッセイがそれぞれ独立しているが、全体としても以上の目標を目指している。

「寝させる」では、「ひと晩寝て考える」(sleep over)ことの効用を書いているが、これは発想法に関する他の類書でも書かれていることである。

「時の試練」では、島田清次郎という大正時代の大作家が、いまではほぼ完全に忘れ去られてしまった。それに対して当時は批判もすくなくなかった夏目漱石の文学は今では国民文学となっている。以上のように、時間のもつ風化作用をくぐりぬけて古典が生まれる。個人の場合も、思考の整理には忘れることが最も有効である。忘れることによって、個人の頭のなかに古典をつくりあげるのである。こうして古典的になった考えであれば、かんたんに消えたりするはずはないとのこと。

著者は、さまざまな考え方をおもしろく紹介して、考えることの楽しさを伝えてくれる。

私も考えることは好きだし、逆に言えばそんなことしかできない。
ただ世の中には、他のタイプの人間もいる。
武田信玄で有名な「風林火山」という言葉は「孫子」から来ているというが、そのなかで「風」とは「疾きこと風の如く」といい、行動のすばやさを表している。世の中には、考える前に行動するような人たちがかなり多い。
そういう人にくらべると「ひと晩寝て、じっくり考える」人はどうしても遅れを取ってしまう。大きな失敗もあまりないが、大成功もないかもしれない。
人間、脳だけではない。身体全体の運動神経というか瞬発力は人生ではかなりウエイトが高いように思う。

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