2009年7月17日金曜日

ビル・エモット アジア三国志

中国・インド・日本の大戦略
2008.6 伏見威蕃 訳 日本経済新聞社

1956年生まれ イギリスのジャーナリスト 英(エコノミスト)誌元編集長

中国の躍進、インドの台頭によってアジアは日本・中国・インドという三大勢力のバランスに大きく左右されるようになった。

p12
「いまくりひろげられている新パワー・ゲームでは、だれもができるだけすべての相手に対して友好的でなければならない。そうしなかった場合の成り行きを怖れて、だれもがそうするだろうが、ひと皮剥けば本音が見える。だれもが自分の地歩を固め、長期の優位をできるだけ拡大しようと画策している」

p31
「異常気象や、天然資源や、地面に生えているものも地中にあるものも根こそぎほしがっているアジアの巨人たちの激しい要求を、(ほとんど)だれもが不安がっているいま、アジアのこの破壊的改革は地球全体にどう影響するのか?
いっぽう、アジアを観察している巨人ふたり―ロシアとアメリカ―は、この変化によって揺さぶられ、たえず影響力を駆使しようとするだろう。こうした破壊的改革のさなか、われわれの目の前でアジアは作られてゆく」

p136
「OECDの(日本の経済成長についての)予想が的中した場合には、日本がアジアのあらたな一大勢力である中国と肩を並べて自信たっぷりに力強く立っていられる見込みは薄い。そうなったら、日本は相対的に国力の衰えた国を運営し、それに中国がつけいるのを防ぎ、アメリカが太平洋の主要同盟国日本に幻滅するのを防がなければならなくなる」

日本では、中国製品が溢れている。中国人の労働にも頼っている。
いっぽう中国との間には、古くからの歴史問題が影を落としている。
東シナ海における島の領有権と石油や天然ガスの採掘権をめぐっての争いもある。
日本と中国との関係が深まっているだけに、ささいな紛争が重大な結果を招く懸念もある。

インドは、現在、日本のODAの最大受益国となっているらしい。
日本の援助によって鉄道や地下鉄が建設されているという。

日本は、孤立して殻にとじこもりたいと思っても、それはできない。
アジア地域でも今よりもっと大きな役割を果たさなければならない。

中国やその他のアジア諸国の経済成長は、原則的に日本のビジネスにとって好機であり追い風になると著者は言う。 

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