2009年7月3日金曜日

大前研一 サラリーマン・リカバリー

会社から自分の人生を取り戻せ
2000 株式会社講談社

1943年生まれ
団塊世代には、なじみの名前である。一般には、東京都知事選挙で敗れたので記憶がある人が多いが、本人はあまり触れたくないことだろう。能力もバイタリティーもあり、日本人ばなれしているところが一般の日本人の心情には受け入れられなかったこともあろう。著者は現在も大活躍中で、著書も多数ある。

60歳すぎてから、このような本を読むのは若い時とは別の読み方もある。ちなみに、著者がこの本を書いたのは57歳のときだ。

著者は21世紀のサラリーマンが持つべきスキルとして英語、コンピューター、論理的思考、サイバー上のチームワークとリーダーシップなどを挙げている。たしかに、一般のサラリーマンには苦手な部分には違いない。
著者は、赤ちょうちん、忘年会や社員旅行、慌ただしい会社中心の生き方をする人は40歳もすぎると能力がなくなって、まったく使い様が無くなってしまうと言う。

しかし、現実はむしろその逆で、日本の企業では、社内の人間関係に気を使った人が残って上にいき、英語・コンピューターなどを年配者がたとえできたとしても関係がない。「若手を抜擢する」とか「女性を抜擢する」とかの常套美句のもとに年配者は、と言っても45歳位であるが、能力に関係なく排除されていく。さらに、たとえ上に登ってトップになったとしても、最近ではテレビの画面で「たいへん申し訳ございませんでした」と頭をさげるのが仕事であるかのごとく思われている。長時間の残業、接待・宴会・ゴルフ漬けで健康も損ねているに違いない。

本書での50歳以降の生き方について引用したい。(p106)
「私は、50代になって自分で起業できなかったり、自分が勤めている会社より小さい会社から社長や副社長になってほしいと頼まれないような人は、基本的に人生の設計を間違えたと自覚すべきだと思う。人間としてはともかく、『会社人間』としては人生を空振りしたのである。そういう人は、これからの人生を暗くしないために、せめて老後の20年間だけでもハッピーに生きることに専念したほうがいいと思う。」
たいへん威勢の良い言葉であるが、60代も後半になった著者は今も同じことを言っているのだろうか。

それはともかく、「会社人生を空振りした人も、人生を楽しもう」「最後に『いい人生だった』と言えるか?」という気持ちは60歳以降の生き方として、たしかに共感するものがある。

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