2009年6月27日土曜日

辰巳渚 常識を捨てると世の中が変わる 「捨てる」講座

2002 東京新聞出版局

1965年生まれ。2000年に「捨てる」技術」でモノ余りの時代の新しい生活哲学を提唱。豊かに楽しく生きるための方法を考え続けている。

2002年頃と今2009年とでは、時代の空気が少しではあるが違っているような気がする。この本が出たころは、日本人が、誰もが豊かであるかのように思っていたのかもしれない。現在、私たちは自分たちを決して豊かだとは思っていないのではないだろうか。

一見、「捨てる技術」の時代は、私たちが自分たちを豊かだと思っていた頃のことのようである。ただ、著者が言っていることは、これからも通用することで生活に対する見方について書いている。いつのまにか常識の罠にとらわれていることは反省すべきである。

それにしても「捨てる技術」という言葉自体が今の状況にあわなくなっており、今では、循環型社会という標語のもとで、リサイクルして使う時代になっている。

1969年に作家の司馬遼太郎が「坂の上の雲」という小説を著わしている。明治維新から日露戦争までの時代、ヨーロッパと同じ力の軍隊を持つ強い国家を作り上げようとひたすら突き進んだ日本を描いたものだ。
坂の上の青い空に、輝く白い雲があるとすれば、それをのみ見つめて登ってゆく軍人や文化人を形容したものだという。
坂をのぼりつめてみれば、かってあれほど輝き確固として見えた雲は霧のようにぼんやりと飛び散ってしまった。これからの日本の社会は衰退してゆくのが誰の目にも明らかになりつつある。
そんな時代に、はたして何ができるのだろうか?

私たちは知らず知らずのうちに、常識的かつ一般的な考え方、価値観、発想にとらわれてしまっている。それが、当り前であるかのように、無意識のうちに思い込まされているものがある。「人並み」というのは、たしかに安易な発想であるが、いつのまにかそれにとらわれて行動してしまっている。
よく考えてみれば、怖いことだ。

いままでの常識を疑って、自分でよく考えた生き方ができるようになりたいものだ。

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